【情熱大陸】6月4日(日)23:00~出演する(医師)南谷かおりさんは【りんくう総合医療センター】国際診療科部長として勤務しています。ブラジルと日本の医師免許を取得している才女であり
(医師)南谷かおりさんの生い立ち、経歴、りんくう総合医療センター国際診療と活動についてまとめました。
(医師)南谷かおりさんの生い立ち、経歴の流れ
名まえ:南谷かおり(みなみたにかおり)
誕生年:1965年
出身地:大阪府
父の転勤で小学校6年生時(11歳)
ブラジルに移住。
ポルトガル語が話せず、2年遅れの4年生に
編入し並行して日本人補習校にも通う。
日本人補習校の中3修了時には
ある程度ポルトガル語ができるように
なっていた。
高1には空席がなく、年齢では現地校の高2に
相当するからといきなり飛び級入学する。
その後、ブラジルの
国立エスピリト・サント連邦大学
[UFES] 医学部へ進学する。
※ブラジルの学校は1月はじまりのうえ、
南谷かおりさんは早生まれで
飛び級もしていたので、
日本ではありえない16歳で大学に入学する。
医学生時代にアルバイトで
日本人の駐在員と家族の医療通訳をした。
国立エスピリト・サント連邦大学
[UFES] 医学部卒業後、医師免許を取得。
※ブラジルはイギリスと同様に卒業
できれば医師免許がもらえます。
しかし、研修医になるには試験があります。
22歳 見聞を広めるため、
大学卒業後すぐに大阪大学第4内科に研究生
として1年間私費留学。
(南谷かおりさんは日本国籍のため)
その後ブラジルに戻る。
地元では放射線科の研修がなかったため、
リオかサンパウロ州で統一試験を受けて
無事に希望していたリオの公立病院に合格。
研修生として2年間研修する。
1992年に帰国し、大阪大学放射線医学教室に在籍。
日本語で基礎医学から臨床医学まで学び直す。
1996年に日本の医師免許を取得。
2006年りんくう総合医療センターに、
当時は珍しかった外国人診療を担う。
国際外来の開設を任され、
現在は国際診療科の部長とし
チームを牽引している。
南谷かおりさんの医学部への動機は?
なぜ、医学部へ?
「立派な動機があったわけではありませんが(笑)ブラジルの大学は教員のストライキが頻繁にあって、授業がよく止まります。止まらずしっかりやっているのが医学部で、カリキュラムも朝から夕方までしっかり組まれていました。私は決して勉強好きではありませんでしたが、日本人からみるとブラジルは南国ムードのおっとりした国で夏休みも長く、このままだとダメ人間になるのではと将来に危機感を持っていました。ブラジルの学校は1月はじまりのうえ、私は早生まれで飛び級もしていたので、日本ではありえない16歳で大学に入学しました」
グローバルヘルス人材戦略センター
りんくう総合医療センター国際診療科
部長 南谷かおり記載の記事より
南谷かおりさんはなぜ、日本で医師になろうと決めたのか?
日本へ行くことを決めたのか?
・リオの公立病院の正規職員は外国籍だとなれないことを知る。
・私立病院は知人の紹介が必要で、地元出身ではない南谷かおりさんには難しい。
・放射線科の医師は医療機器が命、しかしブラジルの研修先病院には
CTはあってもMRIは整っていない。
・日本が、ずば抜けてMRI・CTの台数が多い医療機器先進国である。
グローバルヘルス人材戦略センター記載記事より
日本の医師免許取得について(外国人の医師免許取得者)
厚労省が先進国と認めていない国の医師免許取得者には、
「医師国家試験受験のための予備試験」を受ける必要があります。
医師国家試験受験の予備試験一覧
・日本語検定1級
・年に1回だけの
基礎医学の筆記試験、
臨床医学の選択式試験、
臨床医学の口頭試験
3段階がある。
※(南谷かおりさんが受験当時)毎年30-40人受験して合格者は約一桁。
中国人がほとんどで10年受け続けている人もいる。
その後、日本の病院で1年間研修して
それでやっと医師国家試験の受験資格が得られるという流れです。
グローバルヘルス人材戦略センター記載記事より
りんくう総合医療センター 国際診療科とは?
国際診療科の開設の経緯と流れ
「りんくう総合医療センター」は関西国際空港(関空)に近いので外国人の患者さんが多く、救急外来では言葉の問題でスタッフが困るという事態が生じていました。
1990年代、南米からの労働ビザが緩和され、日系ブラジル人の訪日が急増、日系人といっても日本語が堪能なわけではなく、配偶者が生粋のブラジル人という人もたくさんいましたからポルトガル語の通訳のニーズが高まっていたことから、当時の副院長が外国人を診察できる国際部門をつくろうと考えていました。
南谷かおりさんは公立病院で放射線科医師として働き、たまにAMDA国際医療情報センターから連絡が入るとブラジル人の言葉のサポートをしていました。
南谷かおりさんの今までの経験があり、国際外来の開設と共に専任がいなかった人間ドック部門、女性外来を含め3足のわらじを履くことになりました。
2006年の国際外来立ち上げと共に、いち早く現場に医療通訳者を導入しました。医療通訳といっても当時は確立した教育プログラムもなく、独自に勉強会を開いているグループがあったので、実地研修を兼ねて採用することになりました。
最初は英語の医療通訳6人で始めましたが、来院日が限定されていたので院内で発生する英語、ポルトガル語、スペイン語の通訳に私が呼ばれる羽目になり、初年度の88件中66件は南谷かおりさんが出動しました。
噂を聞きつけて翌年からは元中国人医師やスペイン語を話す看護師がボランティアで来院するようになり、その後はホームページで公募して語学試験と面接にて有償ボランティアとして採用し、医療通訳者を養成する流れをつくりました。
医療通訳は時には命に関わる責任の重い仕事です。現場では、ベテラン医療通訳者と見習いの認定サポーターに分けて、誤訳を防ぎ、経験を積めるように二人体制で通訳、報告書作成を行い、さらに内容が難しい時、インフォームドコンセントや手術説明などで話がこじれそうな場合には、言語のわかる医療者が同席し、内容をチェックするなど複数サポート体制をとっています。
一時期は4言語の通訳者と認定サポーターさんもいれると全部で80名を超えていました。
50名程までは南谷かおりさんが一括でシフト管理までしていました。
現在は統括して管理できるコーディネーターを雇用し、現在は4名のコーディネーターが医療通訳システムを動かし、外国人診療でいろいろな調整をしています。
国際診療外来を通して(医師)南谷かおりさんの活動ついて
グローバル化に伴い専門性のある医療通訳士、コーディネーターの育成が急務
大阪大学病院では海外から特殊な治療を受けに来られた患者さんと言葉が通じないために外来や病棟でも困りごとが生じ、また大学全体のグローバル化と医療の国際部門設立の必要性を感じておられ、その準備委員会に南谷かおりさんは参画することになり、その後大学病院に新設された国際医療センターの副センター長として関わることになりました。
かねてから必要性を感じていた「社会人のための医療通訳養成コース」を大阪大学で立ち上げました。
大阪大学で医療通訳の基本を座学として体系的に学んだ後、りんくう総合医療センターで実地研修を受けて、とても優秀な医療通訳者が育っています。
また大阪大学では国際医療センターのメンバーが「国際・未来医療学講座」を開設し、医学部だけでなく全学部1年生を対象にグローバル人材育成に取り組んでいます。
その後も国際医療センターは海外との合同シンポジウムの開催、医療通訳者やコーディネーターの院内配置、海外からの研修生の受け入れ、保険等の問題解決に従事しています。
2013年、厚労省の審議官に医療の国際化の問題点を説明する機会があり、現場では医療通訳が必要とされている、にもかかわらず認証制度がなく職業として確立されていない、医療通訳を配置するならコーディネーターが不可欠と申し入れる。
その後、その審議官が東京オリンピックまでに医療通訳と国際医療コーディネーター制度を整備するスキームを作成して予算がつき、「医療通訳認証制度のあり方に関する研究」が開始されるなど、医療通訳の発展への足掛かりとなりました。
そして、以前から病院で使う問診表、検査説明、手術同意書など外国人向け多言語説明資料の普及を望んでいたので、翻訳プロジェクトを受注して5か国語で作成しました。
完成品は厚生労働省のホームページから無料でダウンロードできるようになっています。
ICM(国際臨床医学会)認定の医療通訳士、日本国際看護師が誕生
ICM はオールジャパン体制で国際診療・国際臨床医学の連携推進を図ることを目的に設立され、学会の認定制度委員会は、医療スタッフの質向上のための認証制度を策定しています。
医療通訳士と並行して、外国人を診療する際、横断的に動ける日本国際看護師も育成しており、後者の認定部会は南谷かおりさんが舵取りを任されています。
JOCVなど海外で経験を積んでいる看護師は多いのに帰国後その経験を活かす場が少ないことをかねてよりもったいないと思っていました。
2020年3月時点で、76名の医療通訳士、46名の日本国際看護師(NiNA)が誕生しています。
(医師)南谷かおりさんの生い立ち、経歴、国際診療活動のまとめ
南谷かおりさんはブラジルと日本両方で医学教育を受けて、りんくう総合医療センター国際診療科
部長だけではなく、医療現場の人材育成活動にもかかわっておられ、頭が下がるばかりです。
外国人患者さんの診療は、医療をめぐる文化の違い、インフォームド・コンセントの仕方、宗教・民族に対する理解が大切ですし、検査等にかかる費用、保険制度についても事前に丁寧な説明が必要です。日本のグローバル化で今後も外国人患者さんは増え、医療通訳者とコーディネ ーターはこれからますます必要とされます。
多彩なバックグラウンドを持つ多くの若者が増えることを期待しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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